死神の恋
悔しかったし、理解できなかった。明日死ぬかもしれないのに、どうしてダンスに夢中になれるのかって……。
大会会場のプラザホールまで行ったのは、未来がダンスに惹かれる理由を知りたかったから。
でも笑顔で踊る未来はとてもまぶしくて、かわいくて……。
あの瞬間、俺は恋に落ちたことを自覚したんだ。
死に怯える未来の顔じゃなくて、未来の笑った顔が見たい。俺が未来を笑顔にしたいって心境が変化していった。
勉強を見たのも、ラッキーランドに誘ったのも、未来に笑ってほしかったから。
俺って意外と健気だろ?
命を喰らう魔物が見えることを、目を凝らすと死が見えてしまうことを、俺は何度も何度も呪った。でも今は、その気持ちも薄れた。
未来と会えなくなるのは悲しいけれど、死ぬのが未来じゃなくてよかったって心から思えるし、大好きな未来を庇って死ねるのなら、それはそれで本望だと思えるようになった。
最期に未来と出会えたことに感謝しているし、未来と過ごせた時間は俺の宝物になった。
未来、今までありがとう。
* * *