死神の恋
茜色に染まり始めた夏空のもと、真美と手を繋いで幼稚園に向かう。
今日は幼稚園主催の納涼会。遅い時間に真美と一緒に出歩くことも、朝顔柄の浴衣を着るのも、すべてが初めてづくしでテンションが上がりっぱなしだ。
園庭には提灯の優しい明かりがほのかに灯り、お祭りのように屋台が並ぶ。親が買ってくれた冷えたラムネを飲み、熱々の焼きそばを食べる。そしてお土産はわたあめとヨーヨー。
終始ご機嫌だった私が恐怖のどん底に突き落とされたのは、この後すぐのことだった。
真美と一緒にすみれ組の教室に入る。いつもはお友だちがいて賑やかな教室も、今は暗がりが広がるだけ。
「ねえ、真美ちゃん。戻ろうよ」
普段とは様子が違う教室に戸惑い、真美の腕にギュッとしがみつく。しかし私とは違い、好奇心旺盛な真美はこんなことくらいでは怯(ひる)まない。
「未来ちゃんは戻っていいよ。私はメダルが見つかるまで探すから」