死神の恋
きつくてつらい日々の練習が嫌になり、ダンス部を辞めようと思ったことは一度や二度じゃない。しかしステージの上でライトを浴びて踊るのは気持ちがいいし、チームメイトとの動きがピタリと合うと鳥肌が立つほど感動する。
ダンス部を辞めないでよかったと思いながら、踊る幸せに浸った。
息を切らせてステージを下りると、すぐさま真美と抱き合う。
「未来! お疲れ!」
「真美! 声をかけてくれてありがとう」
ステージに上がった瞬間、緊張で頭が真っ白になった私を救ってくれたお礼を真美に伝えた。
私と真美は幼なじみであり親友であり、そしてダンス部のチームメイトでもある。真美の『未来。今日は楽しむよ』というひと声がなかったら、私は音楽が流れてもステージの上で立ち尽くすことしかできなかっただろう。
同じ中学校を卒業した私と真美がダンスを始めたのは、旭ケ丘高校に入学してから。真美は初めて踏むステップもすぐにマスターするし、振りつけもなんなく覚えてしまう。
昔からそうだった。テストの点数も運動会の徒競走の順位も、いつも真美の方が上。しかも身長も真美の方が私より五センチも高いし、足も長くてスタイルがいい。肌は白くて猫のようにクリッとした大きな瞳がチャームポイントの彼女は、誰もが認める美人だ。