死神の恋
「未来、おはよう」
「……おはよう」
玄関先にいる真美と挨拶を交わす。
私を迎えに来た真美はあたり前だけどすでに制服を着ていて、お団子ヘアもバッチリと決まっている。
ついさっきまでベッドの中でウトウトしていた、だらしない自分が嫌になる。
「朝練、行こう」
昨日は一日顔を合わせなかったのに、今日は連絡もなしに私を迎えに来た。マイペースな真美に朝から振り回されてしまった私は、ただ戸惑うばかり。
「私……今起きたばっかりだし」
「そうみたいだね」
朝練習をサボるつもりでいた私がテンション低く答えると、真美がクスッと笑った。
一昨日、私たちはたしかにケンカをした。それなのに真美は何事もなかったように、明るい笑顔を見せる。
真美に嫌われていないようだとホッとしたものの、言い合ったしこりは残ったまま。でも朝からケンカのことを蒸し返すつもりはないし、そんな時間もない。
「先に行ってくれる?」
私が身支度を整え終わるまで真美を待たせたら、朝練習に遅刻してしまう。
「そうする。未来、待ってるからね」
「……うん」
コクリとうなずくと、さつき台駅に向かう真美の後ろ姿を玄関先から見送った。