死神の恋
「ねえ。どれがいいと思う?」
真剣な表情を浮かべてショーケースを覗き込んでいる愛梨が、私と菜々美に尋ねてきた。愛梨の視線の先にあるのは、ペアアクセサリー。
「あっくんと、お揃いの物を身に着けたいんだ」と私と菜々美に説明する愛梨の頬が、ほんのりと赤みを帯びていることに気づいた。照れている愛梨は文句なしにかわいい。和んでいると、菜々美が「あ、これは?」と声をあげた。
菜々美が指をさしたのはゴールドとシルバーのペアリング。女性用のゴールドリングには小さなルビーが飾られていて、とても素敵だ。でも愛梨は首を左右に振った。
「だめ。予算オーバー」
愛梨の言葉を聞き、ペアリングの脇に添えられているプライスタグを菜々美とともに見る。そこには五万円オーバーの金額が……。
家の近くのコンビニでアルバイトをしているという愛梨も、さすがに五万円オーバーはきついらしい。
「たしかに……」と納得すると、引き続きショーケースを覗いた。
キラキラと光るアクセサリーはどれも綺麗で、いつか私も彼氏とお揃いのアクセサリーを身に着けたいと思ってしまう。