死神の恋
そんなことを考えながら、うっとりとショーケースの中を見つめること数分。あるアクセサリーが目に留まった。
「ねえ、愛梨。あれは?」
私が指をさしたのはシルバーのペアブレスレット。シンプルなチェーンブレスレットはどんな服装にも合わせやすそうだし、値段はさっき見たペアリングの半分以下だ。
「あ、いいかも。すみません」
愛梨は店員さんを呼ぶと、ショーケースからブレスレットを取り出してもらった。
「ねえ、どう?」
ブレスレットの試着をした腕を掲げた愛梨が、私と菜々美に意見を求めてくる。
「うん。いいんじゃない? ね? 未来」
「うん。とても素敵だよ」
菜々美に声をかけられた私が返事をすると、愛梨の唇が柔らかい弧を描いた。
「これにします」
「ありがとうございます」
笑顔で店員さんとやり取りをする愛梨がうらやましい。
いつか私も……。
そう思う私の脳裏に浮かんだのは、バスケットボール部の部長である北山くんの姿。どうして北山くんが?と疑問に思うと同時に、胸がトクンと跳ね上がる。
もしかして私、北山くんのことが……。
自分でもハッキリとわからない感情に戸惑いながら、まだ高鳴る鼓動を鎮めるために、そっと胸に手をあてた。