死神の恋

愛梨の彼氏であるあっくんの誕生日プレゼントを買い終えると、気になるショップを見て回ることにした。

「ねえ、どう?」

アパレルショップの試着室のドアが開く。中から出てきたのは、ライダースジャケットを試着した菜々美だ。

「うん。すごく似合ってる!」

「カッコいい!」

口々に褒める私と愛梨の前で、菜々美は腰に手をあててポーズを取る。黒のライダースジャケット姿の菜々美は、クールで大人っぽい。

「よし、決めた! 買ってくる」

菜々美は試着していたライダースジャケットをその場で脱ぐと、レジに向かって行った。

私は学校で使うノートを買うときでさえ、グズグズ悩んですぐに決めることができない。

菜々美は高校を卒業したら語学留学をすることを、すでに決めている。そんな決断力がある菜々美の後ろ姿を尊敬のまなざしで見つめた。

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