死神の恋
笑われつつも無事に消しゴムを買うと、ショッピングモール内にあるフードコートに向かう。今の時刻は午後一時。この時間は午後練習が始まる時間。
いちいちダンス部のことが気になってしまうのは、練習をサボっている罪悪感のせい?
チクリと胸が痛むのを実感したものの、サボったことを今さら反省しても仕方ないと、気持ちを切り替えることにした。
正午を過ぎたフードコートは多くの人であふれ返り、空いている席を見つけるのも一苦労だ。
それでもなんとか席を確保すると、愛梨はピザを、菜々美はオムライスを、そして私はパスタを食べることにした。
イタリアンレストランに比べると辺りが騒がしいことが少し気になるけれど、おこづかいが少ない私にとって手頃な値段がなによりうれしい。
三人で「いただきます」と声を合わせて挨拶すると、早速パスタを味わった。
トマトの酸味とまろやかなモッツアレラチーズの味がパスタに絡み合って、とてもおいしい。
「ねえ、未来。ひと口ちょうだい」
ピザをかじながら愛梨が言う。人が食べている物をひと口ほしいと思うのが、女の子の特徴。私も愛梨と菜々美が食べているピザとオムライスが気になっている。
「もちろんいいよ」
「ありがとう! 私のピザも食べてね。菜々美も食べるでしょ?」
「うん」