死神の恋

愛梨の彼氏であるあっくんの誕生日プレゼントを買うという目的を果たした私たちは、ショッピングモールを後にするとカラオケ店に向かった。

案内された部屋に入るなり、愛梨が慣れた手つきでカラオケタブレットを操作してマイクを握る。

カラオケに来るのは、文化祭の打ち上げ以来。たった二週間前の出来事なのに、パーティールームでダンス部のみんなと歌って踊りまくった日が懐かしかった。

「未来も歌いなよ」

「あ、うん」

菜々美からカラオケタブレットを受け取ると、ダンスで使用した楽曲を予約した。

愛梨と菜々美と一緒に過ごす休日は充実していてとても楽しい。けれどショッピングモールにいても、カラオケをしても、ふとしたときにダンスのことが頭に浮かんでしまう。

やっぱり私は踊ることが好きなんだ……。

ダンスに対する思いを再認識したとき、自分が予約した楽曲のイントロが流れ出した。

もう、逃げない。

そう心に誓うと、ソファから立ち上がる。そしてパーティールームよりはるかに狭い部屋でマイクを握りながら、曲に合わせてステップを踏んだ。

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