死神の恋
7.再始動

「また遊ぼうね」と約束をすると、愛梨と菜々美と別れて家に帰る。初めてふたりと過ごした休日はとても楽しかった。



夕食とお風呂を済ませると、自分の部屋でストレッチを開始する。練習をサボったのは、今日を含めて四日間。それなのに関節がボキボキと嫌な音を立てた。

呑気に踊っている場合じゃないと思っていたくせに、今になってストレッチに励み出したのは、改めてダンスが好きだと自覚したから。

もう、練習はサボらない。明日から死にもの狂いでがんばろう。

そう決意をすると、遅れを取り戻すために体を入念にほぐした。



昨日はシュシュでひとつに束ねていた髪の毛も、今日はきっちりとお団子ヘアにまとめた。練習のときに着るジャージもダンスシューズも、母親が握ってくれた昼食用のおにぎりも水筒も持った。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

日曜日の朝八時、ダンス部の練習に参加するために家を出た。すぐ先に見えるのは、真美との待ち合わせ場所であるどんぐり公園。でも今日は足を止めずに、公園の前を素通りする。

真美とはケンカをして以来、会っていない。今日から練習に参加することすら連絡しなかったのは、真美ときちんと向き合って『偉そうに意見しないで』と口走ってしまったことを謝りたいと思ったから。

私と真美は幼なじみで親友。きっとすぐに、笑い合える仲に戻れるよね?

真美のことを考えながら、さつき台駅に向かって足を進めた。

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