死神の恋
翌日、午前六時に起きると身支度を整えて家を出る。すぐ先に見えるのは、真美との待ち合わせ場所であるどんぐり公園。今日もそこを素通りすると、さつき台駅に向かった。
部室で制服からジャージに着替えを済ませて、体育館に向かう。
今日こそ真美にきちんと謝ろう。
そう決意しながら足を進めていると、体育館に続く渡り廊下の先にいる真美を見つけた。
朝練習開始時間まであと五分ある。真美に謝るなら今しかない。
少しでも早く仲直りがしたかった私は、真美に向かって一歩を踏み出す。けれど真美がひとりではなかったことに気づき、その足をすぐに止めた。
真美と一緒にいたのは、バスケットボール部の部長である北山くん。ふたりからは距離があるため、なにを話しているのかはわからない。
仲良さげに会話を交わしているふたりの姿を目にした瞬間、胸に痛みが走り出す。
私は昨日も今日も、真美に謝ることばかり考えていた。でもそれは無駄なことだったと、今気づいた。
私のことは避けるくせに、北山くんとは仲良さげに話をしている真美が憎らしい。
まだ張り裂けるように痛む胸に手をあてると、ふたりから視線を逸らした。