死神の恋
「ねえ、私はいつどこで、どんな風に死ぬの?」
自分のことなのに、自分の死についてなにもわからないことがもどかしい。
彼に詰め寄り、矢継ぎ早に質問する。でも彼は黙ったまま立ち上がり、質問を質問で返してきた。
「オマエさ……。死ぬの、怖くないの?」
「……怖いよ。泣きたいくらい怖い」
本音をさらけ出してしまったのは、私が死ぬという事実を知っているのが彼しかいないせい。
ケンカ中の真美は彼の言うことなどデタラメだと決めつけているし、愛梨と菜々美には彼に関することは一切話していない。
もう逃げない、真実を知りたい。
私がそう願ったのは自分が本当に死ぬのであれば、最期を迎えるときまで全力で生きたいと思ったから。でもそれは綺麗ごとだったと、痛感した。
残された時間を全力で生きようなどという、前向きな気持ちにはとてもなれない。
死にたくない……。
ただその思いしか、頭に浮かばなかった。
死という恐怖と不安に耐えられなくなった私の視界が、ユラユラと揺れ出す。
下唇をギュッと噛みしめると、涙が込み上げてくるのを我慢した。けれど感情をうまくコントロールできるほど、私は器用じゃない。
「うっ……」
唇の端から声が漏れると同時に、涙が堰を切ったように流れ出した。