死神の恋
すると真美に「未来」と名前を呼ばれる。おずおずと顔を上げれば、真美の口角がニコリと上がった。
「選抜メンバー入り、おめでとう!」
体育館では不機嫌そうだった真美の表情も、今は満面の笑みが浮かんでいる。
真美は口を利きたくないほど、私を恨んでいる。そう思い込んでいた私にとって、真美のお祝いの言葉は予想外。
「ありがとう。真美もおめで……とう」
驚きと喜びが入り混じり、感極まった私の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ありがとう。ねえ未来、泣かないでよ」
「だって……」
メソメソと泣いている場合じゃない。真美には聞きたいことと、聞いてもらいたいことが山ほどある。
そう思っていても、込み上げてくる涙を止めることができない。
でも、これだけは絶対に伝えなくちゃ……。
タオルで涙を拭うと真美の顔を真っ直ぐ見つめる。そして、ずっと言えずにいた言葉を口にした。
「真美。ごめんね」
涙で視界がユラユラと動いて、真美が今どんな表情を浮かべているのかわからない。けれど私と真美は幼なじみで親友。
「ううん。私も……ごめんね」
真美の声が一瞬詰まったのは涙のせいだと、すぐにわかった。