死神の恋
顧問の吉崎先生と原口コーチ、それから今回はステージに上がることができなかった部員のみんなが、出番を終えた私たちを出迎えてくれた。
「お疲れさま! 最高のダンスだったよ!」と言って、私たちを労ってくれた吉崎先生の言葉を聞いた瞬間、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきた。
でもこれは悲しくて泣いているのではない。旭ケ丘高校ダンス部員全員が一丸となって演技に取り組むことができた、うれし涙だ。
「……うっ」と声を漏らして隣にいる真美に抱きつけば「未来ったら、泣き虫なんだから……」と言って私の背中に腕を回してくれる。でもその真美の声も微かに震えていることに気がついた。
きっとステージメイクは汗と涙でグチャグチャのはず。でも今は、そんなことどうでもいい。
ダンス部のみんなと喜びを分かち合い、充実感に浸って抱き合った。