御曹司とおためし新婚生活
【最終話】クールな上司と正式婚約
東雲部長……真斗さんと恋人という関係になって知ったのは、彼が愛情深く、嫉妬深いということだ。
今ままでは相手が鳳さんだから警戒しているのだと思っていた。
けれど、どうやら違ったようで、明倫堂の他部署の男性社員から広告代理店の男性、はたまた食事先の店員まで目を光らせている。
先日、デート中に街中で高校時代の男友達に偶然再会した時はひどかった。
互いに恋愛感情を持ち合わせたことなどない友人だったにも関わらず、いや、だからこそ以前と変わらない親しい雰囲気で接したのが最大の失敗。
友人は『彼氏すげーイケメンじゃん。しかもクールでかっこいいっすね。お幸せに!』と、真斗さんを褒めて、私たちを祝福してくれていたにも関わらず。
『仲が良さそうで何よりだな』
街を彩る煌びやかなイルミネーションを背に、十二月の風よりも冷たい目で私を見下ろした。
そしてその晩、ベッドの上で組み敷かれた私がえらい目にあったのは語るまでもなく。
翌朝、痛む腰押さえ、疲れ果てた体を引きずるようにシーツから抜け出た私は、浴室の鏡に映るキスマークだらけになった自分の体を見て苦笑を浮かべた。
一度『真斗さんってヤキモチ妬きですよね』と口にしたことがあるのだけど、その際『そうらしいな。亜湖を好きになってから気付いたが』と言われてしまえば文句なんて言えるはずもない。
そして、私だって女性の多い職場で彼のモテっぷりにヤキモキしているのだから、お互いさまなのだけど。