御曹司とおためし新婚生活


二人のややこしい関係性に苦笑し、けれどおじいちゃんになっても喧嘩しながらも仲良くしている姿が想像できて。


「お安い御用です!」


そこに宥める私が入っていればまた楽しそうだなと思いながら答えれば。


「おい……」


困ったように眉根を寄せて振り向いた真斗さんと、その向こうには笑顔の鳳さん。

ステージでは谷川さんの見事なメイクテクニックでより一層美しくなったモデルのモネさんが立ち上がった。

白いオーガンジードレスの上にシースルーのロングローブを羽織った彼女の唇には、新作の口紅の色を纏っている。

可憐かつ上品な雰囲気の雪の魔女となったモネさんは、確かに誰もが見惚れるほどの魅力を放っていた。

会場のゲストから拍手があがる。

鳳さんは首から下げていたカメラをかまえて、ステージの方へと移動しつつシャッターを切った。

誰もがステージに注目する中、真斗さんの大きな手がそっと私の手を包んだ。

途端、まわりにバレてしまわないかという緊張と、愛しい人の体温に心臓が落ち着きを無くす。


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