御曹司とおためし新婚生活


「すごいですね。ちなみに私、料理はからっきしです」

「ああ。見ればわかる……」


肯定した東雲部長の視線の先には、東雲部長に負けてはならぬと私が作った卵焼き。

部長の手料理と一緒にテーブルの上に並んではいるものの、ちょっと異質な存在として目立っているは自分でもよくわかっている。


「すみません。久しぶりすぎて失敗しちゃいました」

「あれがただの失敗で許されるレベルなのか。何をしたら卵焼きがこんなに真っ黒になるんだ」

「甘じょっぱいのがいいかなと思って、砂糖と醤油をふんだんに惜しみなく大胆に使ってみました」


さらに言えば、食べ物が傷みやすくなってくる季節なので、しっかり焼こうと意識したんだと伝えた。


「わかった。お前は期間中俺の許可なく料理はするな。作れる日は俺がやる」

「いえでも、それでは妻役としての私の立場が」

「いいから、お前はただひたすらに皿を洗ってくれ」


ぶ、部長の目が据わっている。

話してる途中で声を被せてくるほどに私の料理はいただけないということか。

確かに見た目は悪いけど、まだ味をみていないのに。

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