御曹司とおためし新婚生活
王子様、か。
私の王子様は、東雲部長なんだろうか。
でも、東雲部長は女性をあまり信用していない人だし、朝のことはありつつも、本当のところどう思っているのか。
私に手を出した理由も、変に期待したら傷つく結果になるかも、なんて、ネガティブな思考に陥った時だ。
ゆずちゃんの瞳がふと私を捉えたかと思えば。
「あら? あらあら~?」
「な、なに?」
顔を覗き込むようにされ、私は僅かに体を引いた。
「あんた、恋してるでしょ」
「えっ!?」
思わず大きな声で驚いてしまい、慌てて両手で口元を覆う。
私の反応を見て、ゆずちゃんは唇を三日月のようにして笑った。
「その反応、図星ね」
「や、あのね、私も色々ありまして」
「色々! 今度じぃ~っくり聞かせてもらおうじゃないの」
「ところで、なんでわかったの?」
私が恋してること、と、小声で問いかければ、ゆずちゃんはふふふと唇を尖らせ笑う。