御曹司とおためし新婚生活
【第八話】こんなにもあなたが


残暑厳しい九月初旬。

新作発表会まであと三カ月と少しとなり、打ち合わせも毎週行われるようになっていた。

会場全体の作り込みや受付の造作、新製品の展示コーナーのデザイン。

それらに合わせ、椅子やテーブル、飾る花の種類・色や花瓶といった細かいところまで、代理店や会場の担当営業さんたちを含めた打ち合わせでしっかりと確認していく。


「テーブルに飾る花はパッケージにもある白いアネモネをメインに。花瓶の候補は現在向日さんが検討しています。進捗は?」


奥田マネージャーに尋ねられ、私はプリントアウトした花瓶の写真をいくつか見せる。


「パッケージの色合いを意識したものと、会場のテーマに寄せた雰囲気で探していくつか候補は出ました。明日、これらの実物を見てきます」

「頼むわね。では次にメディアギフトの件を」


ひとつ減って、ひとつふたつと増える仕事。

忙しくて目が回りそうな日もあるけれど、苦に思わないのはやりがいを感じているから。

時間が過ぎるごとに、何かを成すごとに、自分が成長していく感覚。

経験が私に自信を与えてくれる。


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