上司にプロポーズされて困ってます


「とりあえず、誤解は解けました?」

「あぁ、良かった」

課長は心底ホッとした様子でフーッとため息をついた。

「えーっと、そろそろ離して……」

「嫌だ」

離してほしいという私の言葉はあっけなく遮られた。

「そろそろ仕事が……。それに誤解は解けたようですし……」

私も正直もうしばらく、こうしていたいと思ってしまっているわけだけれど、さすがにこれ以上は身がもたない気がしてきた。

心臓はバクバク鳴っているし、身体は熱い。

けれど、一向に課長は私を離そうとはしない。

「まだ始業まで30分以上ある」

「30分……」

「長年片想いしてきて、今さら手放す気は更々ない」

「な、長年!?」

課長のとんでもない爆弾発言に、思わず目を見開く。

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