上司にプロポーズされて困ってます
事の真相と爆弾発言
数秒間だったのか、はたまた数分間だったのか、どのくらいそうしていたのかわからない。
私には時間の感覚がなかった。
頭の中はぼんやり、ふわふわした状態。
ただ、課長の腕の中は温かくて心地好かった。
あまりの心地好さに目を閉じそうになった時、頭上から課長の声が降ってきた。
「じゃあ、柴本さんは本当に結婚しないってことだな?」
課長の言葉にハッと我に返った。
もしかしてと思い当たることがあったからだ。
「そういえば、法務部の柴本さんが結婚するらしいと噂で聞きましたけど」
「法務部の柴本さん……?」
私は課長に抱き締められたまま、先日同僚から聞いた噂を説明した。
「はい、法務部の柴本さんです。すごい美人さんですよね。確かウチの会社の顧問弁護士さんの息子さんとお付き合いされてるとか。その息子さんも弁護士さんで、美男美女のお似合いのカップルらしいですよ」