きっと夢で終わらない
高校二年に上がっても、代わり映えしないメンバーの中で私の立ち位置が変わるはずもなく。
文系理系でクラスも別れ、本格的に受験を視野に入れての授業が始まり、少しずつ緊張感が漂ってきた中、私は唯一進学でなく、就職を考えていた。
この学校に入った以上、進学するというのが暗黙の了解で成り立っていたが、お父さんは年収が一千万を超えるような高給取りでないので、今までの学費返済も込めて就職することにした。担任からは奨学金を使う手立てもあると勧められたが、後々返さなければならないことを考えると、卒業と同時に稼ぎにいった方が長い目で見たらきっとプラスだと判断した。

だからといって高校時代の学業をおろそかにすることはなかったが、クラスメイトの中にはそんな私の存在を「目障り」として扱う者もいた。
みんなが一生懸命、受験に向かって走り出す準備をする中で、私だけが就職。
朝の早朝講座も放課後の課外授業も受けない。
塾に行っているわけでもないのに、夏期講座の出席もしなかった。

働きアリの中に怠け者のアリを投入すると、その働きアリが怠けるように、私のような「やる気のない」奴が存在すると、彼らの意志力もそがれるらしい。
私の行為は「逃げ」に映って、よく思われていないことを知った。
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