きっと夢で終わらない
「先輩」というのは立場的にそうだと言うことで、つながりを考えた時には分からない。
かといって「先生」と呼ぶには接点がなさすぎる。
それに、あの時質問を続けなかったことも踏まえて、線を引かれた気がした。

「信じて」と言って来た割には、弘海先輩の態度は曖昧だ。
水曜日だって、同じ部屋で花純先生も一緒に昼食をとったけれど、自分が食べたらさっさとどこかに行ってしまったし、昨日はたまたま私が係の仕事をした後で向かったからつい長居みたいな形になってしまっただけだし。
あんな質問してきた割には、どこか突き放されたように感じた。

弘海先輩が私に立てる壁はもちろんある、それは感じる。
でも弘海先輩が自身の前に立てている壁のようなものもあるような気がする。
相手の警戒心を解くにはまず自分を見せる、なんて言うけど弘海先輩はあくまで自分のことを語ったりはせずにアプローチをかけてくる。

その理由も探せるかと思って、私は弘海先輩を目で追っていたけれど、中学生の時に気づいてもらった視線も、今日はまだ一度も気づいてもらえていない。
これが「先生と生徒」と言うことなのだろうか。
というか、結局人間なんてみんなそんなものだ。

私も、そうだったように。
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