きっと夢で終わらない
化学室は中学生の教室のあるA棟と、高校生の教室のあるC棟の間、専科の教室のあるB棟のしかも高校生のみが利用する一番奥、裏門に近い場所に位置するので、正門から登校するわたしにはあまり縁のない場所だった。
中学入学間もない頃に、ふらふらと広い構内を散歩していたら見つけた。


花壇は、建物の壁に沿って奥行き50センチに、幅1.5メートルくらいの小さな煉瓦造りのもの。私が入学する少し前に離任した、生物の先生が作ったものだと化学の妻木先生から聞いた。

比較的ほったらかして居ても花をつけてくれる花ばかりが綺麗に植わっていたが、初心者なりに一応手入れはしているつもり。

アジュガ、マリーゴールド、バーベナ、インパチェンス、ポーチュラカ、アネモネ、チョコレートコスモス、カルーナ、ノースポール、デイジー。プランターにはコスモス、ひまわり
バラそして、アガパンサス。

雑多に植わっているように見えるけれど、この花壇は年中花が絶えない。
四季折々の花を咲かせてくれて、ここだけ童話の世界の中のようだった。
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