きっと夢で終わらない
でもきっと、昨日の水やりはやってくれた。それは確実。
花を見ればわかる。
日当たりの良いこの場所は、1日水をやらないだけでもすぐ花の状態が変わる。
梅雨の前に主張しておこうという太陽の思惑か、気温はそう高くはないけれど晴空の日が続いていた。

きいちゃんがそれを言わないのはわざとだ。
私ときいちゃんなりの線引き。
あくまでもお互い勝手に、という暗黙の了解が成り立っている。


「先輩、そういえば今うちのクラスに、昨日から教育実習生来てるんですよ」

「教育実習生?」


プランターのひまわりに水をあげ始めたきいちゃんが、話題を投げてきた。
太陽に向かって伸びる緑の茎はしっかりと体幹をなして、今にも開きそうな大きな蕾をつけている。もう時期咲くだろうか。


「当たったことありますか?」

「あ……中一、中二の時に」


今はそんな時期か、と遠い記憶を呼び起こす。
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