きっと夢で終わらない
中間考査が終わって期末考査までの間、この学校は教育実習生を受け入れる期間が設けられていた。中学一年生から高校二年生まで、ランダムに教育実習生が配置されるので、当たらないクラスももちろんある。
去年、一昨年、私のクラスはなかったけれど、他のクラスには歴史学や生物学を大学で専攻していた、リクルートスーツの大学生が配属されていた。
生徒によってはタメ口をきくくらいに親しくなっている子もいて、そんな小さな変化に生徒たちも期待して、楽しんでいた。

私にはもう、全くもって関係ない世界の話だったが。


「私のクラスは国語科の、古典の先生でした」

「担任国語科だっけ?」

「いえ、高橋先生はバリバリの体育会系です。で、この学校に来る教育実習生って、卒業生が多いじゃないですか。葛西先生も例に漏れずそうなんですけど」


さらりときいちゃんが口にした名前に、身体が反応する。


「……葛西、先生?」
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