きっと夢で終わらない
「はい、男性で、下の名前は弘海?葛西弘海先生。割と顔が整ってて、クラスの女子が騒いでました」
もしかしたら人違いを願ったが、ここの卒業生で「葛西弘海」なんて名前の人物は、私の知っているあの人以外には居ない。
胸騒ぎが起こる。動揺がバレなように、私はきいちゃんから少し距離をとった。
なんてことだ。
まさか今同じ場所にいるなんて考えもしなかった。
と言うことは、昨日あの場にいたのは、もしかしてここに来るため?
「そしたら葛西先生、昨日の初日っから大遅刻して来て」
「遅刻?」
「そうなんですよ。初顔合わせがホームルームだとみんな信じて疑わなかったのに、まさかの三限の国語の時間という。びっくりでしたー」
ははは、ときいちゃんは抑揚のない笑い方をした。
パラパラ、ヘッドからの水しぶきが花に、葉っぱに降り注ぐ。
キラキラと水が光を散乱して、落ちていくのをぼんやり目で追った。