きっと夢で終わらない

——ガチャリ。

ドアノブが回る音がした。
しんみりとした空間に、突然入って来た無機質な音は私を驚かせるのには十分で、驚いて仰け反ると、その拍子に踵からバランスを崩して後ろに倒れる——と思いきや、パイプ椅子にどかんと尻餅をついた。
寸でのところで怪我を逃れた私と、「うわっ」と声を漏らした弘海先輩。
顔を上げると目が合って、弘海先輩は私の頭に手を置いた。


入って来たのは花純先生だった。
私と弘海先輩を見比べて「あら」なんて嬉しそうな反応した。
これは絶対んなんか勘違いしているやつだ。語尾にいらないハートマークが見えたもの。


「二人とも面識あったの?」

「先輩後輩です。花壇の縁で繋がった」


口元が緩んでいる花純先生に、生真面目に答えたのは弘海先輩。
花純先生はちょっと残念そうに、でも納得したように、なるほどね、頷いた。
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