きっと夢で終わらない
「それで……八城さんは、私のお誘いに乗ってくれたってこと?」
「え?え、っと……」
「あ、弁当持ってるじゃん。嬉しい。さ、食べましょ。葛西くんも一緒に食べる?」
「いや、さっきの時間で済ませました。神坂先生のところに用事があるので」
「そうなのね。あ、机の上片付けるから待ってね」
「じゃあ、僕は、ちょっと行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
弘海先輩はもう一度私の頭を撫でると、なにやら支度をしてゼミ室を出て行ってしまった。
私の方を振り返ることもないまま。
撫でられたところが熱を帯びて、変な気分で、花純先生に「いらっしゃい」と呼ばれるまで、扉の方を向いて座っていた。
「私と葛西くん、高校二年時の担任と生徒なのよ」
机の上にランチバッグを置かせてもらうと、花純先生もカバンの中から風呂敷に包まれた漆の弁当箱を取り出した。
動悸がおさまらない。変な気分。
気づかれないように、できるだけ自然に答える。
「そうなんですか?」
「うん。教え子と同じ立場になるって、結構変な気分よ。八城さんと葛西くんはいつからの知り合い?」
箸入れから、箸を取り出して花純先生が聞いてくる。
どうして来たの? とか、私がここに来たことに関する一切の詮索はしなかった。
「え?え、っと……」
「あ、弁当持ってるじゃん。嬉しい。さ、食べましょ。葛西くんも一緒に食べる?」
「いや、さっきの時間で済ませました。神坂先生のところに用事があるので」
「そうなのね。あ、机の上片付けるから待ってね」
「じゃあ、僕は、ちょっと行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
弘海先輩はもう一度私の頭を撫でると、なにやら支度をしてゼミ室を出て行ってしまった。
私の方を振り返ることもないまま。
撫でられたところが熱を帯びて、変な気分で、花純先生に「いらっしゃい」と呼ばれるまで、扉の方を向いて座っていた。
「私と葛西くん、高校二年時の担任と生徒なのよ」
机の上にランチバッグを置かせてもらうと、花純先生もカバンの中から風呂敷に包まれた漆の弁当箱を取り出した。
動悸がおさまらない。変な気分。
気づかれないように、できるだけ自然に答える。
「そうなんですか?」
「うん。教え子と同じ立場になるって、結構変な気分よ。八城さんと葛西くんはいつからの知り合い?」
箸入れから、箸を取り出して花純先生が聞いてくる。
どうして来たの? とか、私がここに来たことに関する一切の詮索はしなかった。