きっと夢で終わらない
ほら、また。

——『関係なくないよ』。

その言葉を引き金に、私の激情を抑えていたたかが外れた。
全身の毛が逆立つように、カッと身体が熱くなった。
目の前が真っ赤になって、ここが学校であることも忘れて声を上げた。


「関係ない！　私は生きてても生きてなくても関係ない存在だ。何の利益にもならなければ、迷惑もかけてないのに。どうして私にそんなに構うの？　赤の他人に何がわかるの！」


もはや手段はなかった。
さも知っているようなその態度が鼻に付く。
いくらあの時親しくしていたからと言って、私は「あまり干渉してこない弘海先輩」だから「先輩」として関わっていたのであって、胸の内まで共有したいなど思ったことは微塵もなかった。

だいたい、他人に他人の心など——


「自分の存在が、赤の他人に影響してないと思ったらそれは大間違いだよ」


さっきまで火照っていた身体は、冷水を当てられたように一気に体温が下がる。
口調は優しいのに、ゾッとするような強い声音。

反射的に顔を上げると、弘海先輩は静かに私を見おろしていた。
その目には怒りというよりも、悲愁の情が伺えた。
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