きっと夢で終わらない
責められているみたいで苦しかった昨日のものとは少し違って、今日は自分を責めているような表情だった。

弘海先輩がそんな表情をする理由がわからなくて、胸がざわざわと音を立てる。


「毎日怖かった。もしかすると、今日こそ登校してこないかもしれない、って。今日も本当は、そこから顔が見えるまで生きた心地がしなかった」

「……うそ」

「本当。僕があの時止めたことが、もっと大きな傷を負わせてたらと思うと夜も眠れなかった」

「そんなの、詭弁だ」

「なんとでもとってもらっても構わない。でも杏那にまた会えて僕は嬉しい。こんな言葉も、もしかしたら枷になる?なら撤回するけど、ただ」


弘海先輩が息を吸い込むのに倣って、私も呼吸した。
今まで自分が息をしていなかったことに、ようやく気づいて。
その眼差しが、あまりに縋るようなもので、目の奥が熱くなって。
弘海先輩はとても温かに、あの頃のようにふわりと笑って。


「何も言わずにいなくなられると、僕みたいに呼吸を忘れる人間がいるんだということも、覚えておいて」
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