きっと夢で終わらない
もうどうすることもできなかった。
私の中で積み上げていたものがガラガラと崩れ去っていく。

だから、近づいちゃいけないと思っていたのに。

取り乱して叫びたいほどに身体が震えて、しかし「泣いてる」と客観的に思うほどに冷静でもあった。

突っ立って、涙を流す私に弘海先輩はいつかのようにハンカチを出して、強引に私の顔を拭った。こんな現場、今日は休日じゃないのに誰かに見られたらどうするのだと思いつつも、注意できないほど身体中から力が抜けていた。

気張らなくてもいいのだと、我慢しなくてもいいのだと、暗に言われた気がした。
今まで学校で泣いたことなんて一度もなかったのに。
私はやっぱり、弱い人間になってしまったみたい。
今日きいちゃんがこの場にいなくてよかったと、心底思った。


「……怖かった。ずっと。……今もすごく、怖い」


私の言葉に弘海先輩は、手を止めた。

多分半分自棄だった。あんな姿を見られたのだから、もうどうにでもなれと思った。
でも、今なら、弘海先輩なら、私の言うことを聞いてくれてくれて、受け止めてくれて、誰にも言わないでくれるんじゃないかって。

あの時感じたように、弘海先輩はみんなと違うんだって。
心の中で肥大化していた思いを、ぶちまけてしまいたかった。
もう、限界だった。
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