きっと夢で終わらない
勢いに任せて吐き出した心のうち。
ずっとずっと秘めてて、誰にも話さず墓場まで持っていくつもりだったのに、弘海先輩を前にして、我慢できなかった。

でも、不思議とスッキリしている自分もいた。
口に出したことで、何となく燻っていたものが整理された気もする。

昨日花純先生に言われた言葉が過ぎった。


「杏那は変われるよ。信じたい、信じられない、信じてほしい。どの立場もわかる人間だから、きっと変われる。人を好きになって、自分も好きになれる。少なくとも今、僕のことを信じたでしょ」

「……信じてない」

「なら、信じて」


信じたわけじゃない。
信じていたから打ち明けたわけじゃない。

でも、風が、ふいた。
心の臓を射る、清々しい音が、した。
< 85 / 196 >

この作品をシェア

pagetop