きっと夢で終わらない
「でも私が人を好きになれないのは、私に大いに過失がある。私と関わったら疲れるのはそっちで、きっと私から離れていく。離れたいって思って、その言葉後悔しますよ」

「しないよ」

「言い切れるんですか?」

「言い切れる。だから信じて。僕を信じてみてよ。あの時だって、約束したじゃない」

「約束?」


そんな約束、したことあっただろうか。
思い巡らすけれど、すぐには思い出せなくて、そしたら弘海先輩はふっと笑った。
花がほころぶような笑いだった。


「やっぱり僕が杏那に見限られそうだな」


そんなことはない、と思いつつも何も言わないでおいた。
だっていつでも見限られるのは私の方で、相手じゃない。

自分だ。

じゃあ、自分が変われば、周りも変わる?
諦めなければ、ひとは離れていかないの?
誰かを自分の特別だと、思ってもいいの?

自分が好きになれば、その分好きになってくれる人が、いると思っていいの?
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