きっと夢で終わらない
「これ使ってください」

「でも、」

「代わりに、先生のハンカチください」


どうして? と首をかしげる弘海先輩。


「明日、必ず洗って返しに来るから」


信じてなんて言えない。
信じるなんて言わない。

でも、少しだけ、頑張ることはしてみる。
あの時諦めた全てを、少しずつかき集めて。
もしダメでも、もう少し頑張ってみるのは悪くないかもしれない。


信じてくれる人がいるなら、私も頑張って見たい。
例えそれが一人でも。
いつかはいなくなってしまう人でも。

もう一度やり直せるなら、やり直して見たいから。
「弘海先輩は違う」。
それを信じてみたいから。
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