きっと夢で終わらない
弘海先輩の顔がパッと明るくなる。
そして私からハンカチを受け取ると、ポケットにしまった自分のハンカチをくれた。


「今日のお昼も、ゼミ室来る?」

「……花純先生に呼ばれたら、行きます」


結局、始業の鐘が鳴っても私たちは花壇にいて、またしても非常階段を使って3階まで駆け上がる羽目になった。弘海先輩は「また遅刻だ」と言っていたけど、向こうから高橋先生が見えたのか「ラッキー」と言う声と、生徒の爆笑が聞こえた。

私も花純先生が教室に入るギリギリになんとか滑り込んで、出席簿に遅刻がつけられるのは免れたが、みんなが席についていた中バタバタと駆け込んで来たのは当然よく思われなくて、あからさまな嫌悪の態度が伝わった。


「落ち着きのない八城さんは、お昼休みにゼミ室に来てくださいね」


出席簿を開きながら花純先生の放った一言。
バカなやつ。
そんな声が聞こえた気もするが、私は「はい」と塩らしく返事をして、頭では弘海先輩のことを考えていた。
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