ベストフレンド~本当の友達~
相変わらず、自分の情けなさに悔しくなる。
「桑野さんは今日転校してきたばっかりなんだよね。よろしくね、桑野さん」
浜岡さんは笑みを見せた。
「さて、さっきも説明したけれど、女子テニス部は男子に比べて、すごくゆるくやってるの。練習も週3日の放課後だけ。土日は基本的に休み。顧問の先生は、まあ、たまに来るかなって感じ」
浜岡さんはそう説明した。
「ま、早い話が遊びだよ」
会田さんはしれっと言った。
「桑野さんがもし他に入りたい部活がなかったら、どうかな?」
私は断るということができない。
断るということは角が立つことだと思うから。
だから、嫌なことでも我慢してしまう。
誰かの機嫌を損ねたくない。
もしここで断ったら、目の敵にされるんじゃないだろうか。
あるいは、陰口を叩かれたりするのではないだろうか。
私はいつの間にか、うなずいていた。
「やったー、入るって!」
浜岡さんは拳を突き上げて喜ぶ。
「本当にいいの? 桑野さん。友里に無理矢理連れてこられたんじゃないの?」
会田さんに聞かれる。
私は何も言えなかった。