ベストフレンド~本当の友達~
40分ほどかけて、作った。

「できました」

叔母さんを呼びに行く。

「遅かったわね」

わざわざ言わなくてもいいのに。

まあ、春休みで叔母さんの小言には慣れた。

食卓に並べ、一緒に食べる。

会話はない。

会話をしたいとも思わない。

叔母さんは以前はバリバリ働いていたそうだけど、ある日きっぱりと仕事を辞め、今はパートで暮らしている。

貯金が沢山あり、養う家族もいないのでそれでやっていけるそうだ。

叔母さんは自由な一人暮らしを謳歌していたのに、どうして私を受け入れたんだろう。

正直、こんな人と暮らすくらいなら、一人暮らしの方が良かった。

叔母さんがもし断ってくれていたら、一人暮らしが出来たのだろうか。

「ごちそうさま」

叔母さんが食べ終わり、皿を水に浸ける。

「友達はできた?」

叔母さんは不意に言った。

私の頭の中に、浜岡さん達が浮かぶ。

「いえ……」

だけど、振り払った。

「そりゃそうよね、あんた暗いもの。またいじめられて、この家で自殺とかやめてよね。迷惑だから」

叔母さんは私を残し、テレビを見に行った。

私は何も聞かなかったことにして、食べ終えた。

すぐに皿を洗う。

「洗い終わったら、太郎の散歩行きなさいよ!」

叔母さんが大声で言った。

太郎とはこの家で飼っている柴犬のことだ。

私を皿を洗い終え、玄関を出る。

「太郎、散歩」

そう言うと、太郎は興奮しだす。

伝わっているのだろうか。

私は太郎を連れて、家を出た。


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