ベストフレンド~本当の友達~
太郎の散歩を終えて、帰ってきた。

家に入る。

「ずいぶん遅かったのね」

叔母さんが怒りながら言った。

「誰かと会っていたの? それとも、遠くまで散歩してたの?」

「話を……してました」

「誰と?」

友達、ではない。

「クラスメイト、です」

「そう、あんたと話したい変わり者もいるのね」

叔母さんはテレビを見に戻った。

浜岡さんは変わり者という認識で合っているだろう。

その後、お風呂に入り、パジャマに着替えてベッドにもぐりこむ。

今日はいろいろあった。

浜岡さんに振り回された一日だった。

明日の朝はどうしよう。

行くべきだろうか。

これも、断れない約束。

すっぽかしたら、ひどい目に遭う。

また、いじめられる。

浜岡さんはクラスの中心人物だ。

機嫌を損ねてはいけない。

私はぐるぐるとそんなことを考えつつ、眠りに落ちた。



夢を見ている。

いじめられていた時の夢だ。

物がなくなったり、悪口や陰口を言われたり、暴力を振るわれたり。

もっとひどいことも沢山された。

誰も、助けてくれなかった。

周りの子も、先生も、両親も。

私はきっといつまでも、いじめに囚われ続けるんだろう。

私が安心して笑える場所なんて世界中にどこにもなくて、どこも私を受け入れてはくれない。

復讐したい、忘れてしまいたい。

様々な思いが入り混じる。

私は生きてる価値、あるのかな。

ないよね。
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