ベストフレンド~本当の友達~
「すっ……ぐすっ……」

何だろう。

隣から何か聞こえる。

私は目を開ける。

友里は寝たままだ。

だけど、泣いていた。

涙をこぼしながら寝ている。

その様子は、元気で明るい友里の姿からはかけ離れていた。

「……ごめんなさい」

友里は寝言で、唐突に謝った。

「友里」

心配になり、友里を呼んで起こす。

「んっ……」

友里は目を覚ました。

「あれ、私。泣いてた?」

「うん……」

「怖い夢でも見たのかな? あはは」

友里はいつもの笑みを見せる。

何かを誤魔化している。

付き合いの浅い私でも、すぐにわかった。

でも、深入りはできなかった。

この先に進んではだめだ。

そんな警告じみた予感が、頭の中に響く。

「どうする? 帰る?」

友里が聞いてくる。

「うん、そうだね。今日はありがとう、友里」

「うん! こちらこそ」

私たちはレジャーシートを片付ける。

その最中、友里は目を合わせてくれなかった。

友里らしくない。



公園で別れ、帰路に着く。

友里は何かを隠しているのだろうか。

いつか、自分から話してくれるのだろうか。

私の方から聞きに行けなかったのは、やはり怖かったから。

聞いてしまったら、この関係が壊れてしまうような気がしたから。



翌日の日曜日。

午前はバイトをして、午後は勉強と読書をした。

友里と遊んだ昨日と比べ、退屈だった。

昨日は友達と遊ぶのが楽しいという感覚を久しぶりに味わい、なんだか素敵な気分だ。

こんな楽しい日々がずっと続いてほしいと思った。

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