ベストフレンド~本当の友達~
翌日の放課後。

4人で部室に向かう。

「桑野先輩、ラケット買ったんですね」

小村さんが私のラケットを見ながら言った。

「うん」

「今日は沢山打つ日にしようね」

友里が嬉しそうに言った。



部室に着き、中で着替える。

着替え終わった後、入部届けを出していないことを友里に伝えた。

「それじゃあ、先生来るまで打って待ってよう」

私たちはラケットとボールを持ち、部室の外に出る。

「見ての通り、この学校には4面コートがあって、一番向こうからA、B、C、Dコートだよ。私たちが使っていいのはDコートだけなんだ」

友里にそう説明された。

4人しかいないので、1面だけでも十分だろう。

早速コートに入り、打ち始めた。

しかし、私は空振りばかりでまともに打ち返せない。

それどころか、ボールに追いつけないこともしばしばあった。

根本的に、テニスに向いていない気がした。

みんなにアドバイスをもらっても、一向に上達しない。

やはり、私にスポーツなど無理だったのだ。

私がひどく落ち込んでいると。

「ま、まあ最初はこんなもんだよ」

友里が慰めてくれたが、あまり心は晴れなかった。

他の3人は問題なく打つことができていた。

特に友里は上手で、変な方向に飛んだボールも、追いついて打ち返すことが多々あった。

1時間ほど打ち、休憩を挟む。

私は水筒に入れてきたスポーツドリンクを飲んだ。

喉が潤う。

「桜、どうだった?」

正直なところ、楽しくはない。

これなら、鬼ごっこかシャボン玉でもした方が楽しいだろう。

だけど、それを提案するのはできないし、テニス部に誘ってくれた友里やみんなに悪い。

「難しいね」

それだけ答えておいた。

「うーん、そうだよね」

その時、私たちが使っていたDコートに、男子部員たち2名が入って来た。

私たちが休憩している時は男子も使っていいのだろうか?

男子部員たちは打ち始める。
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