ベストフレンド~本当の友達~
月日は流れ、ゴールデンウィークになった。

半分はバイトで、半分は休み。

友里の提案で私の休みの日に、テニス部のメンバーで遊びに行くことになった。

電車で少し遠出して、大型商業施設へ向かう計画だ。

朝は駅で待ち合わせをすることになっている。

待ち合わせは私が一番乗り。

少し待って、会田さんが来た。

その後に小村さん。

最後に友里。

友里は朝が弱いのだろうか。

「よし、行こー」

友里が声を上げ、私たちは駅のホームへ向かう。

友里は楽しみにしていたのか、スキップでもしそうな勢いだ。

ホームに着いた。

休日は人がそれほどいない駅だけど、今日はゴールデンウィークなので混んでいた。

私たちはベンチに座って電車を待つ。

友里は足をプラプラさせている。

「友里先輩、落ち着いてくださいよ」

小村さんは注意する。

「はーい」

どっちが年上かわからなくなりそうだ。

電車が来たので、私たちは乗り込む。

ちょうど4人分席が空いていたので、座ることができた。

「みんな、お菓子食べる?」

友里はバッグからお菓子を取り出す。

イチゴ味の飴だ。

私たちは一粒ずつもらい、口に含む。

甘く溶けていった。

お菓子を食べながら電車に乗るなんて、まるで遠足みたいだ。

友里は楽しいことをいろいろ提案してくれる。

私たちはそれに乗っかり、楽しんでいることが多い。

ふと、友里は楽しんでいるのだろうか、と考える。

友里の顔をちらっと見る。

友里の笑顔を見れば、そんな不安は消し飛んでいった。

「ん、桜。どうしたの?」

友里に気付かれた。

「何でもないよ」

「っていうか、2人とも。いつの間に下の名前呼びになったの?」

会田さんが話に入ってくる。

「え~今更? だいぶ前からだよね、桜」

「う、うん」

「だいぶ前っていつ?」

「公園で鬼ごっことかした日」

「鬼ごっこって……あんたたち幾つなの?」

「16歳!」

「17歳」

私たちは同時に言った。

私は先日、誕生日を迎え17歳になったばかりだ。

叔母さんは何もしてくれなかった。

両親からは、お祝いの電話が一応入った。

「え、桜、誕生日来たの? そっか、桜だから春生まれか~」

「うん、そうだよ」

「じゃあ今日は誕生日プレセント買ってあげるよ」

「本当? ありがとう!」

友達に誕生日プレゼント貰うなんて、初めての経験だ。

素敵な感情で、胸の内が温かくなる。

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