ベストフレンド~本当の友達~
昼食の後、平和祈念公園にバスで向かう。

友里はなんだか、元気がない。

もしかして、さっきの陰口が聞こえていたのだろうか。

「友里」

「何?」

「さっきは、ありがとう。資料館でみんなを注意してくれて。格好良かったよ」

友里は笑顔を見せてくれた。

「うん、こちらこそありがとう」

2人で笑い合う。

これで、少しでも友里の元気が戻ればいいのだけれど。




平和祈念公園に着いた。

公園はかなり広く、緑も沢山ある。

ここからは90分ほど園内を自由行動だ。

私と美羽と友里は園内にある、資料館に向かう。

ひめゆり平和祈念資料館と同様に、戦時中に資料などが多く展示されている。

平和の大切さを改めて実感する。

平和というのは、ちょっとしたことで簡単に崩れ去ってしまう。

そして、虐げられ奪われるのは弱い人たちだと、常に決まっている。

私たちは決して戦争を起こしてはいけないし、平和を守って行かないといけない。

そう思った。

3人で資料を見て回っていると、岩井先生に出くわした。

「おう、真面目にやっとるみたいだな。浜岡、さっきはありがとな」

「岩先生にお礼を言われるなんて照れますね」

「岩井だっての」

岩井先生もちゃんと友里をフォローしてくれて、安心した。

「それじゃあ、残りの時間も真面目にやれよ」

岩井先生は去って行った。

私たちは残りの時間、資料館や他の施設を見て回った。



集合時間が近いので、バスに戻る。

そのままホテルに帰り、夕食まで部屋で自由時間だ。

友里は部屋に着くなり、テレビをつけた。

「何か見たい番組でもあるの?」

私が聞いた。

「ううん、どんなのやってるかなーって」

地元とは違うテレビ番組をやっており、新鮮だった。

修学旅行では、レポートの提出が義務付けられている。

私たちはテレビを見ながら、今日の分のレポートを書いた。



夕食の時間。

ホテルの食事会場に着き、席に着いた。

学年主任の先生から、ひめゆり平和祈念資料館で騒いだことで学年全体が注意された。

どうせなら、騒いだ生徒だけ呼び出して怒ってほしい。

先生の長い話も終わり、ようやく夕食だ。

お腹はペコペコで、友里は勢いよく食べている。

「佳織は今頃、どうしてるかな……」

美羽がぽつりと言った。

今の時間なら、家にいるだろう。

寂しがっているのだろうか。

一人では部活はできないので、やはり真っすぐ家に帰っているのだろうか。

「じゃあ、後で連絡してみようよ」

友里が提案した。

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