ベストフレンド~本当の友達~
琉球村に着いた。

私たちは料金を支払った後、運転手さんにお礼を言って降りる。

沖縄の伝統的な建築様式の建物が並び、雰囲気はまるで外国だ。

入場料を払い、早速村内に入る。

村の名を冠する通り、かなり広く見応えがありそうだ。

私たちはここで、天然石のブレスレットを作る体験をすることになっている。

お土産コーナーを通り過ぎ、ブレスレット作りへ向かう。

「あ、牛だ!」

友里が指さす方を見ると、水牛がいた。

角が横に長く、少し怖い印象だ。

キビを絞る仕事をしているらしい。

「牛も働かないといけないなんて、大変だね」

友里はそう言うが、家畜は働くものだと相場が決まっているだろう。



ブレスレット作りの受付を済ませ、説明を受ける。

そして、早速作り始める。

男子たちはこういうの興味ないかと思って心配していたが、意外と楽しんでいるように見えたので安心した。

「私、こういうの好きなんだ~」

美羽は上機嫌で作っている。

美羽が選んだ石は紫でシックなものが中心だ。

一方、友里は爽やかな青色の石を選んでいる。

2人とも、性格が表れていると思う。

私は桜色、つまりピンクの石を中心に選んだ。

私は自分の名前は好きでも嫌いでもなかった。

でも、友里に初めて自分の名前を告げた時、いい名前だと褒めてくれた。

それ以来、自分の名前が好きになり、桜自体も好きになったのだ。

だから、桜色の石を選んでいる。

友里の名前もいい名前だと思う。

友という字が、名前に入っている。

友達思いな友里らしい。

「桜はピンク色の石だね。桜だから?」

友里は気付いてくれたようだ。

「うん、そうだよ」

「ふふ、いいね」

全員完成し、ブレスレット作り体験は終了となる。

もちろん持って帰っていいので、全員早速腕にはめてみる。

普段はアクセサリーなどは身に着けないので、なんだか特別な気分に浸れる。

再び村内を見て回る。

琉球村は映画やドラマのロケ地にもなっているそうだ。

今度みんなで見てみるのもいいかもしれない。

「お土産どうする?」

友里が聞いてくる。

琉球村のお土産コーナーには魅力的なお土産が多数並ぶ。

「まだあちこち行くし、小さい物とか送れる物だけ買えばいいんじゃない?」

美羽が答える。

お土産コーナーは一応見る程度にしておき、琉球村を出た。

まだ、この先もお土産を買う場所は沢山あるし、ここで色々買わなくても大丈夫だろう。

国際通りへは、さっきと同じようにタクシーを使う。

事前に調べたた情報によると4、50分はかかる。

着く頃にはちょうどお昼になっているだろう。

「へい、タクシー!」

友里が再びタクシーを拾う。

私たちは同じように2手に分かれ、乗り込む。

「国際通りまでお願いします」

友里が頼んだ。

タクシーは動き出す。

「修学旅行かい?」

別の人だけど、さっきも同じように聞かれた。

「はい、そうです!」

友里が代表して答えた。

「そっか、楽しんでる?」

「すごく楽しんでいます!」

友里が元気よく答えると運転手さんは、はははと声をあげて笑った。

「その腕にしてるの、作ったの?」

「はい、琉球村で」

友里ばかりに話させるのも悪いと思い、私が答えた。

「みんな可愛いから、似合ってるねえ」

「褒めても何も出ませんよ~」

友里がおどけて答える。

岩井先生を相手にしている調子そのものだ。

その後も、友里が中心になって会話を盛り上げてくれた。

頼もしい限りだ。


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