ベストフレンド~本当の友達~
本当の友達
季節は流れ、夏。
期末テストも終わり、夏休み直前になった。
今日も部活だ。
「暑い~」
友里が部室の扇風機で涼んでいる。
「友里、扇風機独占しないで。首振りにしてよ」
美羽が注意した。
「そういえば、夏休みの部活ってどうなるんですか?」
佳織が聞いた。
私と佳織は部活に入ってからは初めての夏休みなので知らないのだ。
「え? ないよ」
友里が答えた。
「1回もですか?」
「うん、ずっと休み」
「他の運動部に怒られそうですね。怠けすぎって」
「じゃあ、何回かやる?」
「そうですね。腕が鈍ってしまいますから」
私も部活はやりたい。
暑いし日焼けするけど、みんなと会えるのは楽しい。
みんなで話し合って、週1回くらいやることになった。
「あ、そうだ。憲一君の試合、応援に行こうよ」
友里が突然言い出した。
「野部君の試合?」
私は聞き返す。
「うん、夏休み中に大会があるの。インターハイじゃないやつね」
「全日本ジュニアですか?」
「それそれ」
「どこでやるの?」
美羽が聞く。
「今年は大阪だよ。ついでにみんなで観光もして来ようよ」
大阪は行ったことがないので、楽しみだ。
あと、野部君の試合もテレビではなく、実際に見たい。
「桜、頑張って応援しないとね」
友里が意味ありげにウィンクしてくる。
「だからさあ……」
なんだか、反論する気も起きない。
というより、反論しても無駄だろう。
佳織は不思議そうに私たちを見ていた。
佳織は気付いていないようなので、ほっとする。
このまま、気付かないでほしい。
時は過ぎ、夏休みになった。
学校に行かないので、やることがない。
部活のみんなで遊びに行くけれど、毎日ではないのでどうしても暇な日ができる。
そんな日は、宿題や自主勉強をして過ごした。
そして、日課の太郎の散歩に行くと、野部君に出くわした。
最近、あまり会っていなかったので久しぶりだ。
夏休み前より、日焼けしている。
「こんばんは、野部君」
「こんばんは、桑野さん」
一緒に歩き出す。
テニスバッグを見ると、私があげたシーサーのお守りが付けられていて、少し嬉しくなる。
「最近、あんまり会わなかったね」
「大会が近いから忙しかったんだ。桑野さんは夏休みどう?」
「うーん……」
割と暇してると言おうとした。
だけど、引け目を感じる。
それは、野部君と自分を比べてしまうからだ。
「楽しんでるよ」
結局、曖昧な答えになった。
「そっか、良かった」
「そうだ、野部君の試合、4人で応援に行くから。全日本ジュニア」
「来てくれるんだ。ありがとう。暑いから気を付けてね」
「うん。頑張ってね、野部君」
「そうだね、せっかく見に来てくれるんだし、絶対優勝するよ」
よく知らないけど、全日本と付くくらいだから日本で一番強いジュニアを決めるのだろう。
そこで優勝することは、並大抵のことではないと思う。
でも、野部君の力強い言葉を聞いたら、不可能ではない気がしてきた。
野部君の出る大会は、約1週間に渡って試合が行われる。
1週間も滞在することはできないので、準決勝から見に行くことにした。
準決勝の前日に出発して観光をし、ホテルに泊まる。
日が経ち、出発前日になった。
夕飯の時間。
「明日から大阪に行くのよね?」
叔母さんに聞かれる。
「はい、そうです」
「子供だけで? それも全員女子」
「はい」
「誰か、大人が付いて行った方がいいんじゃない?」
叔母さんなりに心配してくれているのだろう。
「大丈夫ですよ、みんなしっかりしてますから」
しっかりしてる……のかな。
「そうかしら。気を付けるのよ」
「はい」
叔母さんは食事を終え、テレビを見に行く。
私も食事を終え、皿洗いをして太郎の散歩に行く。
野部君は大阪にいるので、出くわすことはない。
昨夜、アプリに「勝ってるよ」とメッセージが来ていた。
これなら、試合を見ることができそうだ。
私は太郎の散歩を早めに切り上げ、風呂に入って就寝した。
期末テストも終わり、夏休み直前になった。
今日も部活だ。
「暑い~」
友里が部室の扇風機で涼んでいる。
「友里、扇風機独占しないで。首振りにしてよ」
美羽が注意した。
「そういえば、夏休みの部活ってどうなるんですか?」
佳織が聞いた。
私と佳織は部活に入ってからは初めての夏休みなので知らないのだ。
「え? ないよ」
友里が答えた。
「1回もですか?」
「うん、ずっと休み」
「他の運動部に怒られそうですね。怠けすぎって」
「じゃあ、何回かやる?」
「そうですね。腕が鈍ってしまいますから」
私も部活はやりたい。
暑いし日焼けするけど、みんなと会えるのは楽しい。
みんなで話し合って、週1回くらいやることになった。
「あ、そうだ。憲一君の試合、応援に行こうよ」
友里が突然言い出した。
「野部君の試合?」
私は聞き返す。
「うん、夏休み中に大会があるの。インターハイじゃないやつね」
「全日本ジュニアですか?」
「それそれ」
「どこでやるの?」
美羽が聞く。
「今年は大阪だよ。ついでにみんなで観光もして来ようよ」
大阪は行ったことがないので、楽しみだ。
あと、野部君の試合もテレビではなく、実際に見たい。
「桜、頑張って応援しないとね」
友里が意味ありげにウィンクしてくる。
「だからさあ……」
なんだか、反論する気も起きない。
というより、反論しても無駄だろう。
佳織は不思議そうに私たちを見ていた。
佳織は気付いていないようなので、ほっとする。
このまま、気付かないでほしい。
時は過ぎ、夏休みになった。
学校に行かないので、やることがない。
部活のみんなで遊びに行くけれど、毎日ではないのでどうしても暇な日ができる。
そんな日は、宿題や自主勉強をして過ごした。
そして、日課の太郎の散歩に行くと、野部君に出くわした。
最近、あまり会っていなかったので久しぶりだ。
夏休み前より、日焼けしている。
「こんばんは、野部君」
「こんばんは、桑野さん」
一緒に歩き出す。
テニスバッグを見ると、私があげたシーサーのお守りが付けられていて、少し嬉しくなる。
「最近、あんまり会わなかったね」
「大会が近いから忙しかったんだ。桑野さんは夏休みどう?」
「うーん……」
割と暇してると言おうとした。
だけど、引け目を感じる。
それは、野部君と自分を比べてしまうからだ。
「楽しんでるよ」
結局、曖昧な答えになった。
「そっか、良かった」
「そうだ、野部君の試合、4人で応援に行くから。全日本ジュニア」
「来てくれるんだ。ありがとう。暑いから気を付けてね」
「うん。頑張ってね、野部君」
「そうだね、せっかく見に来てくれるんだし、絶対優勝するよ」
よく知らないけど、全日本と付くくらいだから日本で一番強いジュニアを決めるのだろう。
そこで優勝することは、並大抵のことではないと思う。
でも、野部君の力強い言葉を聞いたら、不可能ではない気がしてきた。
野部君の出る大会は、約1週間に渡って試合が行われる。
1週間も滞在することはできないので、準決勝から見に行くことにした。
準決勝の前日に出発して観光をし、ホテルに泊まる。
日が経ち、出発前日になった。
夕飯の時間。
「明日から大阪に行くのよね?」
叔母さんに聞かれる。
「はい、そうです」
「子供だけで? それも全員女子」
「はい」
「誰か、大人が付いて行った方がいいんじゃない?」
叔母さんなりに心配してくれているのだろう。
「大丈夫ですよ、みんなしっかりしてますから」
しっかりしてる……のかな。
「そうかしら。気を付けるのよ」
「はい」
叔母さんは食事を終え、テレビを見に行く。
私も食事を終え、皿洗いをして太郎の散歩に行く。
野部君は大阪にいるので、出くわすことはない。
昨夜、アプリに「勝ってるよ」とメッセージが来ていた。
これなら、試合を見ることができそうだ。
私は太郎の散歩を早めに切り上げ、風呂に入って就寝した。