ベストフレンド~本当の友達~
ホームルームの後の休み時間。

早速私は囲まれて、質問責めに遭っていた。

「どこから来たの? 遠い? 近い?」

「と、東京」

「すげー東京だって! 憧れちゃうなー」

「趣味は? 暇な時とか何してるの?」

「読書……」

「へー」

次第に、私がつまらない奴だとわかってきたようで、私を囲む輪は崩れていった。

「桑野さん」

浜岡さんだ。

呼ばれて、ビクッとしてしまう。

浜岡さんは笑っている。

私を馬鹿にしているわけではないのはわかっているけれど、どうしても人の笑顔は嫌いだ。

私に向けられる笑顔は、いつも私を馬鹿にするための笑いだったから。

「桑野さん、部活何か入る?」

「部活?」

部活に入ろうなんて気は、これっぽちもなかった。

部活なんて、クラス以上に人との繋がりが濃くて、そのうえ上下関係まであって、いじめに発展しやすいと思う。

そんな場所に進んで入るなんて、死にに行くのようなものだ。

「この学校、部活強制じゃん?」

「え……」

知らなかった。

いや、そういえば転校前にそんなことを説明されたような気がした。

どうしよう。

なるべく、活動していなさそうなところを選ぶしかないのだろうか。

「もしよかったら、テニス部どうかな?」

運動部なんて、ありえない。

それに、私は運動はとても苦手だ。

運動関連で散々人に迷惑を掛け、恥をかいてきた。

そういえば、浜岡さんもテニス部だっけ。

その時、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。

「今日、一緒にコートに行こうよ。じゃあね」

浜岡さんはそれだけ言って、自分の席に帰って行った。

どうしよう。

今のって、返事はしていないけれど、約束したことになるのかな。

だとしたら、破ることはできない。

約束を破ったら、いじめられるかもしれない。

憂鬱だ。

「あはは、友里って強引だよね」

隣の席で、野部君が笑う。

「まあ、悪い子じゃないから、許してあげてよ」

私は小さくうなずいた。

野部君は浜岡さんを下の名前呼び捨てにしたけれど、仲がいいのだろうか。

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