ベストフレンド~本当の友達~


集合時間ギリギリになって、見覚えのある姿が走ってくる。

浴衣なのでうまく走れていないけど、本気でテニスやってただけあって、速い。

「友里ー!」

私は大声で呼んだ。

「みんなー!」

友里がついに来た。

「遅いよ、友里」

美羽が大切に言った。

「ようやく、主役の登場ですね」

佳織が呆れながら、嬉しそうに言った。

「みんな……ごめんなさい。私、みんなにひどいことしたよね。許されることじゃないってわかってるけど、謝りたい。ごめんなさい!」

友里が頭を下げる。

私たちは顔を見合わせる。

私も美羽も佳織も、思っていることは一緒だ。

「頭を上げて、友里」

私が言った。

「桜……」

顔を上げた友里は泣きそうになっていた。

「ここにいる3人はみんな、友里と友達でいたいんだよ。だから、ここに来たんだよ。友里はもう、陰口におびえる必要はないよ。時には喧嘩するかもしれない。意見が合わないかもしれない。でも、きっといつまでも仲良しでいられるよ。だって、私たちは――」

花火が上がる。

夜空に綺麗な花が咲く。

私の言葉の最後の部分は、花火の音でかき消された。

でも、構わない。

聞こえなくても、きっと伝わっているから。



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