ベストフレンド~本当の友達~
昼休みになった。

ここまでくると、もう私の席に近づいてくる人はいなかった。

みんな私に飽きたか、私の暗さに嫌気がさしたのだ。

だけど、1人だけ近づいてくる人がいる。

「桑野さ~ん」

浜岡さんだ。

のんきな声で呼んでいる。

「お弁当持ってきてる?」

「う、うん」

この学校には、購買があるが私はお弁当。

そっちの方が安く済むからだ。

「じゃあさ、テニス部の部室で一緒に食べようよ」

「え!?」

思わぬ誘い。

でも、断ることはできなかった。

嫌か嫌じゃないかで言えば、嫌だ。

というより、とても嫌だ。

だけど、私は「嫌」の一言が言えない。

そのせいで、今まで散々苦労したり、嫌な目に遭ってきた。

でも、自分を変えることはできなかった。

自分が情けなくて、どうしようもなく悔しい。

私は引っ張られるままに、テニス部の部室へ向かう。
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