長谷川君には屈しないっ!
抵抗力100%
中間テスト
校舎に入ってすぐのところにある掲示板の前で私は言葉を失った。
掲示板にはつい先日行われた中間テストの結果が張り出されていた。
中学の頃からトップを独占していた私は、高校でもそれを実行すべくテスト勉強に明け暮れた。
…ーしかし。
「おっ、今回も1位じゃんか光輝!」
今まで行われたテスト2回中私が1位を取ったことは一度もない。
なぜなら…、
「よ、“地味子”」
頭上から聞こえて来たこの声の主にトップの座を奪われたからである。
反射的に上を見上げると、そこには余裕感をたっぷり醸し出した顔で私を見下ろす長谷川光輝の姿があった。
「く……っ」
「そんな上目遣いで見られてもな」
すると長谷川君は15センチはある身長差を一気に縮め、不適に笑いながらそう言った。
「ち、違うわ!」
その距離の近さに動揺したのを隠すように勢いよくそう言う。
「それより、地味子って呼ばないで!私の名前は上地実子よ!」
私は勉強だけが取り柄だったゆえ、お洒落や女子力などに興味が無かった。
そのため、制服のスカートの丈は常に膝下10センチをキープし髪の毛はおさげで、そこにメガネを足したのが私の格好。
この格好のお陰なのか、私は自分の名前とも掛けられ、学年では“地味子”と呼ばれるはめになってしまった。
それにもかかわらず、目の前にいる長谷川光輝という人物は、学年外でもイケメンと噂され、バスケ部ではエース、そしてテストの成績はご覧の通りである。
この様な人間性からか“完璧王子”などと呼ばれるが、性格は人を上から見下ろし(単に私と彼の身長差があるだけだが)様々な癪に触る言葉を吐いてくる。
何より、一番認めたくないのは彼は授業のほとんどを夢の世界で過ごしているくせに勉強がずば抜けて出来てしまうことだ。