長谷川君には屈しないっ!
抵抗力80%

土曜日デート!?






「……遅い」


とうとう来てしまった、約束の日。


すでに15分が経過しているが、長谷川君の姿が見えないのは目をつぶるとしよう。


しかし、あれからと言うものの今日の予定をなにも知らされることなく平日は過ぎていき、今日に至る。


そんなことを思いながらあたりをもう一度見渡すと、向こう側の交差点に信号を待っている長谷川君の姿があった。


その姿といえば、やはり女子(自分が“女子”に含まれるか否かは考えないことにする)にきゃーきゃー言われてるだけあってそんじょそこらのモデル顔負けだ。


「おはようございます」


「おはよ」


信号を渡って目の前にやってきた彼に挨拶をすると、寝起きの雰囲気を残しつつそう言った。


「ねぇ、見てよあの人!」


「うわっ、イケメン…」


駅前ということもあり、通行人の女性たちから長谷川君に対しての黄色い声が上がる。


私には彼のそういった要素を理解することはできないが。


彼女たちを少し冷ややかな目で見ていると、その他の女の子たちも集まってきてしまった。


なにこの状況…。


「えー、やばくない!?声かける?」


「っていうか、隣の女誰」


「めっちゃダサくね?」


聞こえてますけど。


わざと聞こえてるように言っているのか、それは知る由もないが今日の私の格好を改めて見てみる。


極力露出を抑え、黒やブラウンのカラーを基調とした服装だ。


それに対し、長谷川君はと言うと、その長い脚を生かしたスキニーパンツに白のTシャツというラフな格好であるが、やはり目を引かれるものがあるのだろう。

< 10 / 70 >

この作品をシェア

pagetop